薔薇の花の下

時々、すっごく怖くなる時がある。
死の恐怖とか、誰かに憎まれる恐怖とか。

別に、もう時間は充分にすぎていると思うし、そんなにつらいとか思っちゃいけないんだろうなって思う。

だけど、時々たまらなく怖い。
誰かにそばにいてほしくなる。贅沢をいえば、それは「誰か」ではなくて好きな人なんだろうけど。

人を好きになるってことがよくわからない。好きと依存はたぶん別物。

早く大人になりたい。私の思う大人。それは彼みたいな人。
感情をあらわにしない。中々人を嫌いにならない。自分の感情に人を巻き込まない。

私は彼に憧れる。格好良いと思う。私も大人になりたい。

だけど、きっと私が大人になったら彼の私への興味は薄れるんじゃないかな。

感情に流されて、表現がいちいち大きくて、すぐに人を好きになって、すぐに傷つく。
よく泣くしよく笑う。嘘がつけない。短絡的。直情型。

私は私のこういうところがあまり好きじゃない。
もっと理路整然とした女性がいい。

それでもきっと、違うからこそ一緒にいるんだと思う。
私が私を好きじゃなくても、彼が今一緒にいるのは紛れも無く私。
だとしたら、私は私に生まれたことを感謝しなきゃ。



なにも言わないけど、きっと彼は私を見透かしてるんだろう。
そんな彼はやっぱり格好良い。

今、すごく幸福。
それだけあればいいや。

失う怖さとかを考えるのはやめよう。
どう振る舞ったって、私は私の恋心と別れられない。

それなら走れるだけ走ろう。
だって、好きなんだもん。