私は魔法を使えない。

彼はずるい。私はいつも真剣で、落ちてしまうかもしれないギリギリを歩いているのに、会うとそれをまるでなかったことにしてしまう。

列車が線路を滑り始めて、少しだけ冷静さを取り戻した時、なんだか騙されてるような気分になった。結局はいつもの繰り返しなのかな。

だけど、たぶん今日の私の判断は賢明なんだろう。最近の毎日は擦り減ることが多すぎる。もうきっと限界は目の前だ。

「人の心の中なんて知らないほうがいいことの方が多い」確かにそうだと思う。